PoCの目的と進め方のポイント(サマリ版)
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昨今クラウド技術の著しい進化によってPoC(概念実証)が頻繁に実施されるようになりました。
中でもAI関連ではChatGPTやstable diffusionなど革新的な生成AIが誕生し、ネクストステージとして企業の「活用」フェーズに入っています。
そこで今回は実業務で活用する前段階としてPoCをどのように実施するのか?
その目的・重要性・ポイント・失敗例も含めてサマリ版※でご紹介します。
※詳細は外部掲示板にて解説しています
(前の記事:AmazonのAIでコーディング??「AWS CodeWhisperer」とは)
PoCとは
PoCは、
新たなアイデアや技術の実現可能性を評価するために行われる検証のことを指します。
具体的には、新しい製品やサービスの開発、テクノロジーの採用、システムの改良など、概念やアイデアが実際に実現可能かどうかを試すために行われる小規模な実証実験です。
用語の定義は下記の通りです。
ちなみにPoCはプロトタイプと同じように扱われがちですが明確な違いがあります。
プロトタイプ:完成品に近づけることを目的とした検証
PoC :実現可能性の判断や実現方式を確立するための検証
PoCの目的
ゴールによって様々ですが一般例をいくつかピックアップします。
目的
- 実現性可否の評価
- 課題の早期発見
- ノウハウの構築
- 生産性の向上
- ステークホルダーへの説明
色々とありますが、要するにPoCの段階を踏まないまま新製品の開発や本運用に突入すると「大きな投資の損失」に繋がる可能性があります。
その最悪な事態を避けるためにも、損切りできるレベルの投資であるPoCを実施する手段が有効です。
PoCのやり方
①実施計画の策定フェーズ
まずは関係者全員と目的やゴールの認識を一致させます。
具体的には下記のような内容を確定させます。
②実施フェーズ
次は計画に沿ってPDCAをひたすら早く細かく回し実現方法の確立を目指します。
しっかり時間をかけて100%のモノを出すよりも素早く60%のモノを出して改善していく意識が重要です。
③検証結果の評価フェーズ
最後は実施した結果について報告書を作成し、関係者と最終的な評価をします。
このフェーズに至るまでの過程でドキュメントや動画等に細かく記録することが大事です。
PoC実施のコツ
良い結果が出る出ない関わらず、PoCを実施する上でこのような点に押さえておくとプロフェクトがスムーズに進行します。
・ゴールの明確化
→プロフェクトメンバーが常にゴールを意識できている状態が望ましいです。
・小まめなコミュニケーション
→クローズドにならずに素早く情報を共有して課題の解決に取り組む必要があります。
・失敗を許容する文化
→失敗も重要な資産であり有益なデータであること理解し心理的安全性の高いチームであるとこが望ましいです。
・開発と運用の一体化
→開発チームだけに留まらず、実際に運用するメンバーからフィードバックを受けることでより有益な結果が得られます。
PoCでよくある失敗例
人の問題、組織の問題、環境の問題など様々ですがいくつかピックアップします。
①目的や仮説が不明確なまま進める
目的や仮説が明確でない場合、結果の評価や意義の把握が困難になります。
②成果が出るまで続ける
期間内に思うような結果が出なかった場合、費やした投資分を回収するため結果が出るまで継続するケースです。際限なくコストが膨らむため避けなければなりません。
③結果を良く見せる
失敗も成果物であり貴重なデータです。
望まない結果を隠蔽し成功だけを報告してしまうと投資判断のミスリードに繋がります。
まとめ
今回はPoCの目的と進め方のポイントをサマリ形式でご紹介しました。
本内容の詳細はこちらからご確認ください。
(PoCの目的と進め方のポイント)
PoCという用語はIT業界で主に使われておりますが、IT業界に限ったことではなく多くの業界で近しいことが行われております。
音楽業界では人の音声を入れる前に合成技術で音声を入れることで一旦アウトプットとし、制作可否の判断や修正等のフィードバックを受け、その後の過程で発生する制作コストを抑える取り組みが行われています。
またバイオテクノロジーなどの最先端な研究開発ではPoCの結果によって周囲の理解が得られることで予算を獲得しております。
どの業界でも共通することですが、いずれにしてもPoCは「早く」「小さく」「わかりやすく」実施することが重要です。
次回は2023年9月26日に提供開始されたWindows 11 22H2の「Copilot in Windows」についてご紹介します。
(何が変わった?「Windows Copilot」から「Copilot in Windows」へ)
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