Azure OpenAI Serviceってなに?OpenAIのChatGPTとは何が違うの?
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このコラムではMicrosoft社の『Azure OpenAI Service』についてご紹介します。
前回の「ChatGPTって何ができるの?3モデル?4モデル?何が違うの?」はこちら
Azure OpenAI Serviceとは
- OpenAIとMicrosoft社のパートナーシップから生まれ、さまざまなユースケースに応じた特定のニーズに合わせて最適化が可能な業界をリードするコーディングおよび言語AIモデルをREST APIとして利用するためのAzureマネージドサービス。
- 高いセキュリティと信頼性、データプライバシー、ID認証、有害コンテンツのフィルタを保つAzure環境利用でOpenAIのサービスを利用することができる。
- 他のCognitive Servicesと同じく、利用者が機械学習に関する高度な知識を持たなくても “人工知能 (AI) パーツ” として人間の認知機能をアプリケーションに組み込むことができる
(参考:Microsoft Azure OpenAI Service)
・・・長いですね。
要するにChatGPTを始めとするOpenAIのサービスを
Microsoft社が企業向けに利便性を図った上で使いたい分だけ使えるサービス
….ということですね。
もう少し深堀ってみます。
特徴
- Azureの優れたセキュリティ機能上にOpenAIを基にした高度な言語AIを利用できる
- 各モデルをREST APIとして使用できる
- 既存のAzureサービスとの統合が簡単にできる
- Azure ADによる認証/認可といったセキュリティ対策を講じることができる
- 有害な利用やコンテンツを検出してブロックするフィルタリング機能が付いている
- ユーザーのデータとハイパーパラメータ※でファインチューニングができる
※学習前に人手で挙動を設定するパラメータ
Azureならではの特徴を生かして色々やれることがあるようです。
次はOpenAIと比較してみます。
Azure OpenAI ServiceとOpenAIの違い
- API公開のサイクルの違い
- 最新モデルのAPIは先にOpenAIで公開され、次いでAzure OpenAI Serviceに移植される
- Azure OpenAI Serivceのみ利用可能な機能
- セキュリティ (例:RBACなど)
- ネットワーク (例:VNETからのみアクセス可能、Private Endpoint経由でアクセスなど)
- リージョン・可用性 (Azure Cognitive ServiceのSLA 99.9%)
- コンテンツフィルタリング (不適切なユーザー入力やモデル出力(コンテンツ生成)に対応)
- OpenAIのみ利用可能な機能
- ChatGPTのブラウザ機能
上を纏めるとこのような図になります。
こうして比較してみると企業の活用としては『Azure OpenAI Service』の方が使い勝手が良さそうですね。さすがにリリースはOpenAIが先で、おおよそ1週間前後にMicrosoft社が追随してリリースしています。
注意点としては ブラウザですぐに利用できるChatGPTに対し、Azure OpenAI ServiceはAPIで繋ぎ込む必要があるという点です。
次はAzure OpenAI Serviceの提供モデルです。
提供モデルについて
大きく3つのモデルが提供されております。
GPT-3
自然言語を理解し生成するモデル
例)文章などのコンテンツの生成・要約など
Codex
自然言語を理解しコードを生成する
例)GitHubのパブリックコードを基にコードを生成・コメント追加など
埋め込み
自然言語を理解しベクトル(数値)化する
例)QAの構築やナレッジマイニング類似文章の検索など
また利用するサービス(ID)によって性能や費用が区分けされており、詳細は下記になります。
①GPT-3モデル
②Codex
③埋め込み (Embeddings)
※1:2023/3/28時点での料金
モデル例)
✔ 類似性埋め込み → text-similarity-ada-001
✔ テキスト検索埋め込み → text-search-ada-doc-001、text-search-ada-query-001
✔ コード検索埋め込み → code-search-ada-code-001、code-search-ada-text-001
要するに
Azure OpenAI Serviceは使いたいモデルからさらに細分化されたサービスを選択し、必要な用途に合わせて利用することができます。
ただし複雑なリスエストや容量の大きいリクエストは比較的費用が高く、レスポンスが遅くなる傾向があるので要注意です。
次はリージョンです。
利用可能なリージョン
- 米国西部2
- 米国中南部
- 米国中部
- 米国東部
- 西ヨーロッパ
(2023/3/28時点)
上記のように通常のAzureの範囲であれば使える「東日本」並びに「西日本」のリージョンがないため、『Azure OpenAI Service』を利用する場合は海外のリージョンを選択する必要があります。
最後は『Azure OpenAI Service』を活用したアプリ制作の事例です。
アプリケーション制作事例
当社が「Azure OpenAI Service」と「Semantic Kernel」を用いて構築した『AI旅行プラン組み立てアプリ』です。
(参考:生成AI活用におけるMicrosoftの次世代OSS『Semantic Kernel』とは)
このアプリに希望する旅行内容を伝えると、交通経路や宿泊先など希望に沿った旅行プランを提案してくれるサービスです。
本アプリのシステム構成図や設定プロンプトなどはこちらの資料にて解説しております。
(参考:Microsoft Build Japanを終えて 『AI旅行プラン組み立てアプリ』のブース出展)
まとめ
今回はMicrosoft社の『Azure OpenAI Service』とOpenAIのChatGPTの違いについてご紹介しました。
AIソリューションは日進月歩なのでこれからどんどん革新的なサービスが生まれるかと思いますが、まだ法的に整備されてない部分もあるため『Microsoft社のサービス』というだけでもある程度信頼が担保できそうです。
その他に今後本格的にAIを使う予定がある 、Azureをすでに使っている (使う予定がある)、万全のセキュリティ対策を講じたい 、などをお考えの企業様でしたらAzure OpenAI Serviceを利用したほうが良いかと思います。
次回はAI活用に欠かせない『プロンプトエンジニアリング』についてご紹介します。
(AI活用で次世代を見据える『プロンプトエンジニアリング』入門編)
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