【第4話】データサイエンティストは不要?現場が主役のMI組織作り
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未来の材料開発をリードする、経営者のためのMI情報局です。
前回、第3話ではMI成功の鍵となる「データ活用戦略」についてお話しました。
高品質なデータを集め、適切に管理することの重要性をご理解いただけたかと思います。
データを揃えた主人公の前に次に現れた壁は、「人材」でした。
未来の材料開発をリードする、経営者のためのMI情報局です。
登場人物
主人公: 中堅化学メーカーの開発部長。新材料開発の遅れに課題を感じ、MI導入を決意。
メンター: MIを活用して数々の新材料を開発してきたベテラン技術者。
「やはり専門家が必要か…」 人材という新たな壁
「データは揃ってきた。だが、これを分析できる専門家が社内にいない…。」
主人公は頭を抱えていました。
巷では「データサイエンティスト」という言葉が飛び交い、高額な報酬で採用競争が激化しているという話も聞く。
「我が社にそんな優秀な人材が来てくれるだろうか。いや、それ以前に、材料開発のことを知らない専門家が、本当に成果を出せるのだろうか?」
そんな悩みをメンターに打ち明けると、意外な答えが返ってきました。
「君は大きな勘違いをしている。MIの主役は、データサイエンティストじゃない。現場を知る君たち研究者やエンジニア自身なんだよ。」
なぜ「現場の技術者」が主役なのか?
メンターは続けます。
「MIは魔法の杖ではありません。材料開発という**ドメイン知識(専門知識)**があって初めて強力な武器になる。本当に価値のある課題を見つけ出し、データ分析の結果が何を意味するのかを正しく解釈できるのは、長年その材料と向き合ってきた現場の技術者だけです。」
MI時代に研究者やエンジニアに求められるのは、高度なプログラミングや統計学の知識ではありません。それよりも、以下の3つのスキルセットを身につけることが重要になります。
- データリテラシー
目の前のデータが何を意味し、どう活用できるかを正しく理解する力。 - MIツール活用能力
最近はプログラミング不要で、直感的に操作できるMIツールも増えています。こうしたツールを使いこなし、試行錯誤できる力。 - 課題設定能力
自身の専門知識と経験を基に、「この特性を向上させるには、どのデータをどう分析すればヒントが得られるか?」と、MIで解くべき課題を設定する力。
これらは、決してゼロから学ぶものではなく、皆様が既にお持ちの専門知識の延長線上にあるスキルなのです。
現場主導のMI組織を作るための育成ステップ
では、具体的にどうすれば現場の技術者がMIを使いこなせるようになるのでしょうか。いきなり高度な目標を立てる必要はありません。
- ステップ1:組織全体のMIリテラシー向上研修
まずは「MIとは何か」「何ができて、何ができないのか」を全社で共有するための基礎研修から始めましょう。これにより、部署間の連携もスムーズになります。 - ステップ2:研究者・エンジニア向けの実践プログラム
実際の開発テーマに近いサンプルデータを使い、MIツールを操作してみるハンズオン研修が有効です。ツールを「使ってみる」ことで、活用のイメージが一気に具体的になります。 - ステップ3:外部の専門家との伴走
全てを自社だけでやろうとせず、外部のコンサルタントや専門家の力を借りることも賢明な選択です。彼らと二人三脚でプロジェクトを進めることで、実践的なノウハウが社内に蓄積されていきます。
MI人材の育成は、外部からスーパースターを採用することだけが答えではありません。
今いる社員の皆様が、MIという新たな武器を手に入れることこそが、組織全体の競争力を底上げし、持続的な成長を実現する最も確実な道筋なのです。
主人公は、メンターの言葉に光を見出しました。
「そうか、我々が主役でいいのか!ならば、やるべきことは見えてきた。」
人材育成の方向性が見えた今、次はいよいよMI導入の具体的なステップに進みます。
次回予告
第5話: 「失敗しないMI導入!ステップバイステップガイド」
計画立案から実行、評価まで、具体的な導入ステップと成功の秘訣を解説します。どうぞお楽しみに
現場主導のMI組織作りを支援します
弊社では、研究者・エンジニア向けのMIリテラシー向上プログラムや、貴社の課題に合わせた伴走支援サービスをご提供しております。
「自社の人材でMIを推進できるか不安」「何から研修を始めれば良いか分からない」